トイレにスマホを落とした直後、パニックに陥った人間は時として信じられないような誤った判断を下します。それらの「やってはいけないこと」を知っておくことは、生存率を上げるために何よりも重要です。まず第一に、そして最も多く行われる間違いは「電源が入るか確認するためにボタンを押す」ことです。画面が真っ暗なことに恐怖し、あるいは水没しても無事であることを確認したくて、つい電源ボタンを長押ししてしまいます。しかし、この瞬間の通電が、内部に残った水分に電気を流し、基板上の微細なチップを一瞬で焼き切ってしまいます。同様の理由で、充電ケーブルを繋ぐことも厳禁です。「電池が切れそうだから」と充電を試みるのは、瀕死の重傷者に毒を盛るようなものです。第二に「本体を激しく振る」ことです。内部の水を遠心力で追い出そうとする気持ちはわかりますが、最近のスマホ内部は非常に複雑な構造をしており、隙間に入り込んだ水が振ることでかえって移動し、濡れていなかったカメラレンズの裏側やセンサー類を汚染してしまいます。第三に「ドライヤーや電子レンジで乾かす」という暴挙です。前述の通りドライヤーの熱は部品を溶解させ、さらに恐ろしいことに、電子レンジに至っては内部の金属部品がスパークし、最悪の場合スマホが爆発・発火する恐れがあります。ネット上で稀に見かける「電子レンジで急速乾燥」という情報は、悪質なデマに他なりません。第四に「自分で分解しようとする」ことです。専用の工具や技術がないまま無理に筐体を開けようとすれば、防水シールを完全に破壊し、液晶パネルを割り、リチウムイオンバッテリーに穴を開けて発火させるリスクがあります。トイレにスマホを落としたという状況下では、自分で行えることは「拭き取る」「外せるものを外す」「静置する」の三点に集約されます。余計なことをすればするほど、復旧の可能性はゼロに近づいていきます。沈黙を守り、余計な刺激を与えず、ただひたすらに乾燥に徹するかプロに委ねる。その「何もしない勇気」こそが、奇跡の生還を呼び込む鍵となります。
スマホをトイレに落とした瞬間に絶対やってはいけないこと