それは、真夜中に突然やってきました。トイレを流そうとした瞬間、「ゴボゴボ」という異音とともに便器から水が溢れ出しそうになったのです。パニックになりながらも何とか止水栓を閉めましたが、便器の底には汚水が溜まったまま。翌朝一番で修理業者を探し始めました。インターネットで「トイレ詰まり 緊急」と検索し、上位に出てきた業者にすぐ電話してしまったのが、今思えば失敗の始まりでした。電話口では「今すぐ伺います」「出張費無料」との言葉に安心し、すぐに来てもらうことに。30分ほどで到着した作業員は、手慣れた様子で便器周りを点検し始めました。数分後、「これは重度ですね。奥の方で完全に詰まっています。高圧洗浄機を使わないと無理です。部品も劣化しているので交換が必要になるかもしれません」と、難しい専門用語を交えながら説明してきました。私は素人なので、言われるがままに「いくらくらいかかりますか?」と尋ねました。すると彼は、少し考えた後、「通常の作業なら3万円くらいですが、今回は高圧洗浄と部品交換で、最低でも8万円はかかりますね。部品の状態によっては10万円を超える可能性もあります」と、予想をはるかに超える金額を提示してきました。頭が真っ白になりながらも、「少し考えさせてください」と伝えると、作業員は「今ならすぐ作業に入れますが、部品の在庫も少ないので、後回しにすると数日待つことになるかもしれませんよ」と、焦りを煽るような口調で契約を迫ってきました。その言葉に違和感を覚えた私は、冷静になろうと決心しました。すぐに別の業者に電話をかけ、状況を説明して見積もりを依頼。すると、「まずは点検させてください。高圧洗浄が必要なケースは稀です」との返答。その言葉に勇気づけられ、最初の業者には「今回は見送ります」と伝え、丁寧にお帰りいただきました。二番目の業者に来てもらい点検してもらうと、結局は「軽い詰まりでしたね。ラバーカップで十分対応できます」とのこと。作業時間はわずか15分、費用は出張費込みで7千円でした。あの時、焦って最初の業者の言いなりになっていたら、数万円もの無駄な出費をしていたと思うと、本当にゾッとします。この経験から学んだのは、緊急時こそ冷静に判断し、複数の業者から見積もりを取ることの重要性です。そして、少しでも疑問を感じたら、即決せずに立ち止まる勇気を持つこと。
まさか私が?トイレ修理ぼったくり未遂の顛末