トイレから聞こえる「ブーン」という異音。最初は少し気になる程度でも、そのうち慣れてしまって放置している、ということはないでしょうか。しかし、その異音はトイレが発している何らかの異常を知らせるSOSサインであり、軽視して放置することは、様々なリスクを伴います。まず、異音の原因が温水洗浄便座のファンモーターや内部基盤の異常であった場合、最も怖いのが「漏電」や「発火」のリスクです。ホコリが溜まったモーターが異常に発熱したり、電子回路がショートしたりすることで、最悪の場合、火災に繋がる可能性もゼロではありません。特に、異音に加えて焦げ臭い匂いがする、便座が異常に熱いといった症状がある場合は、極めて危険な状態です。直ちに使用を中止し、電源プラグを抜いて専門業者に連絡してください。次に、タンクや給水管からの唸り音を放置した場合のリスクです。これは部品の劣化が原因であることが多く、放置すれば劣化はさらに進行します。やがてパッキンが完全に破損し、給水が止まらなくなってタンクから水が溢れ出したり、接続部分から水漏れを起こしたりする可能性があります。床が水浸しになれば、床材の交換や、集合住宅の場合は階下への漏水といった大きな被害に繋がります。また、異音は「もうすぐ完全に故障しますよ」という予告信号でもあります。放置した結果、ある日突然トイレが全く使えなくなってしまうかもしれません。そうなると、日常生活に大きな支障が出るだけでなく、緊急での修理依頼となり、計画的な修理よりも費用が高くつくこともあります。たかが異音と侮らず、音が小さいうちに対処することが、結果的に家族の安全と財産を守ることに繋がるのです。